新入生の皆さんへ 學長 大瀧純一

 杏林大學では、先般お知らせしましたとおり、新型コロナウィルスによる感染者がわが國だけでなく世界的に増加している狀況をふまえ、4月5日に予定していました入學式について、やむなく中止することに致しました。 入學式はこれから新たな一歩を踏み出す新入生にとって大切な式典であることから、開催を心待ちにされ、楽しみにされていたことと思います。皆さん方のご心中を察すると、今回の決斷は苦渋に満ちたものですが、昨今の狀況を鑑み、ご參加くださる方々の健康と安全、および感染拡大防止を最優先に考え、このような判斷に至りました。どうぞご理解くださいますようお願い申し上げます。
 改めまして、新入生の皆さん、ご入學おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。入學式で皆さん方へお話ししたかったことを、ここで述べたいと思います。 まず、本學の成り立ちについてお話しします。「杏林大學」は、初代理事長 松田進勇先生によって創設された大學で、杏林の名稱は中國に伝わる一つの故事に由來しています。
 その昔、中國は廬山というところに董奉(とうほう)という醫師がいました。彼は人に盡くすために治療を行って、治療代を受け取らず、その代わりに病気が治った人には、記念として杏の苗を植えてもらいました。そうして、いつしかおよそ10萬株の杏の木がうっそうと茂る大きな林が出來上がったと言われています。この故事から良醫のことを杏林と呼ぶようになりました。この故事に因んで名付けられた杏林大學は、専門的知識や技術にすぐれているだけでなく、立派な人格を持ち、社會に貢獻することのできる人材を養成することを目指しています。
 本學のルーツは1954年1月三鷹新川病院が開設され、診療が始まったことに由來しています。1963年6月東京三鷹新川総合病院に改稱し、同時に醫學研究所が併設され、醫學研究が始まっております。また、のちの杏林大學醫學部付屬病院の母體となっております。1966年4月杏林學園短期大學が開設され、醫療従事者の教育が始まりました。1970年4月醫學部醫學科が開設され醫學教育が始まり、1979年4月保健學部開設(1982年2月杏林短期大學廃止)、1984年4月社會科學部(現在の総合政策學部)開設、1988年4月外國語學部を開設し現在の4學部となっております。2016年4月には井の頭キャンパスを開設し、現在に至っております。
 次に、杏林大學の建學の精神についてお話しします。本學の建學の精神は「眞?善?美の探究」です。端的に言いますと、「眞」は真理を究めるための學問をする。「善」は倫理観を持ったよき人間性を形成する。「美」は他人を尊重し、自らの身を持するのに厳しくすることを意味しています。つまり、自ら進んで學び、研究し、他人に対してやさしく、思いやる心を持った人格を自ら築き上げて、人のために盡くす、立派な風格のある人間に成長していくことが求められております。
 この建學の精神を基にする大學生活に期待されることは次の三つに要約されます。第一に自然科學?社會科學?人文科學の本質を見極めるために勉學に勵んでもらい、時代の変化に積極的に対応してもらいたい。第二は、新しいことに意欲的に取り組む姿勢で臨んでもらいたい。第三に、地域にいてもグローバルを志向するにしても、コミュニケーション能力は必須なことですので、人の意見をよく聞き、自分の意見も述べることのできる方法を身に著けてもらいたいということになります。
 杏林大學には醫學部、保健學部、総合政策學部、外國語學部の4學部があり、自然科學系學部、社會科學系學部、人文科學系學部から成り立っています。一つ一つの學部での學問領域は異にしますが、お互いに切磋琢磨しながら発展していくことを目指しています。主たるキャンパスは三鷹キャンパスと井の頭キャンパスで、徒歩10分程度の距離にあり、一體となっていると言っても過言ではありません。
 幸いなことに皆さん方のこれからの學生生活は、多くの先生と友との出會いが、大部分を占めていくと思います。學生時代の先生や友人ほど、本音で語り合える相手はおりません。杏林大學は面倒見の良い大學です。これから皆さん方を積極的に応援していきますので、ぜひ有意義な學生生活を送っていただきたいと思います。皆さん方を心からお待ちしております。

2020年4月1日
 學長 大 瀧 純 一

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